プロデオ | アメリカ進出のパートナー | 販売支援サービス

ブログ

アメリカ進出に役立つブログ

アメリカでのビジネスや販売について、お役に立つ情報を定期的に発信しております。

 

販売戦略 - プロダクト・マーケット・フィット(PMF)

どうすればプロダクトマーケットフィットを得ることができるのでしょうか?


「プロダクトマーケットフィット(Product Market Fit)」とは「PMF」とも呼ばれ、英語の言葉の通り、自社のプロダクトやサービスが、存在するマーケットに適合(フィット)している状態のことを指しています。スタートアップ、大企業に関わらず、商品が売れるかどうかは、プロダクトマーケットフィットに依存している部分が大きいと言えます。Netscape Communicationsを共同創設し、現在はシリコンバレーの強力なベンチャー企業であるAndreessen-Horowitzを共同経営するAndreessen氏も、「スタートアップにおいて重要なのはただ一つ。プロダクト・マーケット・フィットに到達することだけだ」と述べています。

自分の経験からも言えることですが、プロダクトマーケットフィットに到達していない商品のマーケティングにいくらお金をかけても商品が売れることはありません。ニーズの無い商品を消費者が購入することはまずないからです。私の知り合いのマーケターが、プロダクトマーケットフィットに到達していない商品に対して、「ブタにお化粧してもブタでしかない」ということを言っていました。

言葉で言うのは簡単ですが、実際にプロダクトマーケットフィットに到達するのは非常に難しいのです。研究開発に何十億円とつぎ込む大企業でさせ、プロダクトマーケットフィットに到達することができなかったために大失敗しているケースが多くあります。例えば、コンテンツを立体的に見ることができる「3Dテレビ」は、ソニーを筆頭に多くの大企業が多額のお金をつぎ込んで開発、販売したものですが、最後まで市場に受け入れられることはありませんでした。3Dテレビは技術としては面白いのですが、3Dメガネをかけるのが面倒、3Dのコンテンツがないと使えない、そもそも普通のテレビで充分という理由で敬遠されてしまいました。

では、どうすればプロダクトマーケットフィットを達成することができるのでしょうか?実はすごく簡単なのです。問題を定義するところからスタートして、様々な技術や手法を使ってソリューションを考えればいいのです。実に当たり前のことなのですが、これができていない商品がなんと多いことか!技術を先に考えて、その応用を考える罠にはまり失敗する例を実際に今まで沢山見てきました。

私が立ち上げをサポートしたスタートアップは、超音波センサーを使って膀胱に溜まっている尿を測るヘルスウェアラブルデバイスを開発していました。商品自体に特に最先端の技術を使っているわけではないのですが、この会社は「失禁」という大きな問題(失禁はシニアや障がいを持つ人にとっては切実な問題なのです)を最初に定義して、その問題を解決する商品をひたすら開発していたのです。既に問題があり(即ちニーズがある)、その問題に合わせたソリューションを開発すれば、自然とプロダクトマーケットフィットが生まれます。この会社も試行錯誤を重ねて、少しづつプロダクトマーケットフィットの領域に近づいていったのです。

商品の成功は、まずマーケット(ニーズ)があることなので、プロダクトマーケットフィットではなく、「マーケットプロダクトフィット」と呼ぶ方が適切かもしれないですね。



拡大

 

販売戦略 - その商品誰に売るのですか?

顧客調査の意義は「誰に」(ターゲット顧客)、「何を提供する」(提供価値)のかを明確にすることです。


「ターゲット顧客」と「提供価値」を理解しないで、商品を売ることはできません。商品が有り余っている現在は「スーパーニッチ」の時代です。消費者は自分の好みにぴったりと合った商品しか求めないようになっています。そのため、ターゲット顧客を見極めて、そのターゲット顧客に提供する価値を明確にして、集中的にアプローチをかけるのが成功の秘訣です。

ターゲット顧客はどのように決めるのでしょう?単に女性だとか、老人だとか大雑把な人口統計的な類別ではダメなのです。その特定の商品を買う人は、何を考えて、何を感じて、何に興味を持っていて、何に不安やコンプレックスを持っているのかを理解しましょう。その人の「頭の中に入る」ことが重要なのです。そのためには、ターゲット顧客の生活を徹底的に調べます。その人はどういう生活をしているのか、どのようなサイトを見ているのか、何にお金を使っているのか、何に共感しているのか等を調べるのです。「その人」になりきることが重要なのです。その人の視点で世界を見ることができれば、どういったメッセージに反応するかが分かってきます。すなわち、その人の「心の琴線に触れる」ことができるのです。

次に、商品の提供価値を明確にします。上記で作り上げたターゲット顧客のイメージをもとに、ターゲット顧客の心の琴線に触れる「価値」を明確にすることが目的です。ここで言う「価値」は必ずしも商品機能のような有形的なものではなく、心理的なものとなります。

ターゲット顧客の心の琴線に触れる提供価値を見つけるためのツールを説明します。まず、一枚の紙を用意して、3つの見出しを書きます。ここで書く見出しは、「フィーチャー(機能)」、「ベネフィット(利点)」、「ニーズ(潜在的需要)」です。そして、それぞれの見出しの下に、売ろうとしている商品について思い付くことを書いていきます。最初に「フィーチャー(機能)」、次に「ベネフィット(利点)」、最後に「ニーズ(潜在的需要)」という順番で埋めていきます。

例えば、あなたが売ろうとしている商品が高級化粧筆だとします。
 

フィーチャー(機能)

• 独自の基準で厳選した極上の毛

ベネフィット(利点)

• 毛の肌触りが非常に良い

ニーズ(潜在的需要)

• 肌荒れしない

 

高級化粧筆は一般的な化粧筆と違い、厳選した極上の毛を使います。そのため値段も高くなります。フェイスブラシなど一本4万円以上します。最高品質の毛を使うと肌触りがよく、粉含みも良いので化粧のりも良くなります。ここまでは一般的な常識ですね。

では、フェイスブラシは硬すぎると使うときに肌を刺激して肌荒れの原因となることはご存知でしょうか。実は肌荒れに悩む女性はかなり多いのです。ある調査によると、20歳~35歳の日本女性の90%がニキビで悩んでいます。肌荒れに悩む女性の観点で見ると、高級化粧筆を買う理由は、厳選した極上の毛でもなく、肌触りが非常に良いことでもないのです。理由は高級化粧筆を使うと肌荒れしないという点につきるのです。これが潜在的なニーズとなります。

世の中に出回っている広告を見ると、その多数が商品の「フィーチャー(機能)」の説明しかしていません。高級化粧筆の広告であれば、山羊毛のなかで少ししか取れない最高品質の毛であることがアピールされています。しかし、これはあくまでも商品機能の一つです。顧客がこの広告を見ても、この商品を使うと自分にどんな利点があるのかが判りません。

上記より少しユーザー視点で作られた広告では、商品の「ベネフィット(利点)」について触れています。高品質の毛を使うと肌触りがよいことが説明されています。しかし、これでもまだ100点満点中、50点の採点しか与えられません。なぜなら、肌触りが良いだけで一本4万円以上する化粧筆を買う気にはならないからです。

最も効果的な広告を作成するならば、肌荒れに悩む女性にターゲットを絞り込み、高級化粧筆を使うと肌荒れしないことをピンポイントに訴求します。そして、肌荒れと化粧筆の関係を徹底的に調査して、高級化粧筆を使うと肌荒れが改善されることを実証したデータを見せます。更には、高級化粧筆を使って実際に肌荒れが改善したユーザーの声を掲載しましょう。即ち、ターゲットとなるユーザーの潜在的なニーズを理解して、その不安やコンプレックスを解消する提案をするのです。そうすれば、一本4万円以上する化粧筆も必ず売れるのです。

面白いことにほとんどの広告は、フィーチャー(機能)>ベネフィット(利点)>ニーズ(潜在的需要)の優先順位でメッセージを考えますが、顧客はその逆のニーズ(潜在的需要)>ベネフィット(利点)>フィーチャー(機能)の優先順位で商品を評価しているのです。

ここで説明した、ユーザーのニーズを理解して、商品の提供価値を明確にすることを「ポジショニング」とも言います。


 

販売戦略 - フォーカスグループって何?

フォーカスグループを利用して、現地の消費者から直接フィードバックを集めましょう。


フォーカスグループは、顧客として意図している人々を集めてインタビューを行い、商品に関してのフィードバックを直接集める方法です。

フォーカスグループを使って下記の情報を集めることができます。

 

  • 商品(や試作品)を実際に見せて、デザインや機能に関しての意見を集めます。まだ商品が開発途中の場合は、フォーカスグループの意見を最終商品に反映して市場適応性を高めます。
  • 顧客のニーズを確認して、自社製品が顧客のニーズに適応しているか、また今まで気が付かなかった潜在的なニーズの発掘を行います。フォーカスグループから新しい商品のアイデアが生まれることもあります。
  • 商品・ブランドメッセージに対して消費者が理解を示すかを、発売前にフォーカスグループで検証して、必要であれば見直したり変更をかけたりします。
     

海外展開を成功させるには、海外の顧客のニーズに合った商品を提供しなくてはなりません。日本で売れている商品でも、海外で売れるという保証はありません。商品を海外で発売する前に、フォーカスグループを利用して、現地の消費者から直接フィードバックを集め、顧客のニーズと商品がマッチングしているかを確認することは大変重要です。

 

販売戦略 - 社会志向のマーケティングとは?

「社会志向」と呼ばれるマーケティングが今後の主流に


マーケティングの基本理念は根本的に不変だと思いがちですが、実は時代とともに変化を遂げているのです。家電という産業を例に取って説明したいと思います。

1950年代、1960年代は家電が普及し始めた頃で、消費者は価格が手頃になり始めたテレビを購入していました。この頃は「生産志向」と呼ばれるマーケティングが主流でした。この時代のマーケティングは、大量生産、大量消費による市場拡大が目的でした。

1970年代、1980年代になると、テレビも家庭に一通り行き渡り、消費者は「質の良い商品」を求めるようになります。これに合わせて「製品志向」と呼ばれるマーケティングが主流になります。他社の製品と比べていかに品質が優れているのかを伝えることが目的となります。ソニーが自社開発したトリニトロンという技術でテレビ市場のシェアを一気に伸ばしたのもこの頃です。

1990年代になると、消費者はテレビだけでなく、テレビゲーム、パソコン、デジカメ、カムコーダー、PDA(個人情報端末)など家電の選択肢が大幅に増えます。この時代から「販売志向」と呼ばれるマーケティングが主流になります。莫大な広告予算を使って、消費者の気を引くことが目的となります。

2000年代になると、消費者は単に品質が良いだけでなく、ユーザーエクスペリエンスが優れた商品を好むようになります。この時代から「顧客志向」と呼ばれるマーケティングが主流になります。消費者のニーズを理解して、ユーザーエクスペリエンスを訴求することが目的となります。2001年にAppleがiPodを発売して、使いやすさが受け入れられて爆発的に売れました。

歴史を振り返るとマーケティングの目的が移り変わってきていることが理解できると思います。ではこれからはどんなマーケティングが主流になるのでしょうか?これからの時代は今までのように生産性(生産志向)、技術(製品志向)、販売力(販売志向)、ユーザーエクスペリエンス(顧客志向)で差異化するのは非常に難しくなるでしょう。

ヒントは「マズローの欲求段階説」にあります。「マズローの欲求段階説」によると人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものであると説明しています。人間の欲求は、生理的欲求、安全の欲求、所属・愛の欲求、尊重の欲求、自己実現の欲求の順番に満たされていきます。色々な意味で豊かになった時代に生きる我々には、「自己実現」が今後更に重要になっていくと考えられます。これがどういうことかと言うと、消費者は物欲を満たすために商品を購入するだけでなく、自己実現のために商品やブランドを購入するということです。

そのため、ブランドは消費者が「共感」できるイメージを作ることが重要となります。デザインや品質の良い商品を作るだけでは不十分で、確固たる企業理念(世界観、価値観、事業目的)の上にビジネスを行うことが求められます。そして、多くの消費者が共感するには、そのフィロソフィーが自己利益のためではなく、社会貢献のためであることが条件となります。企業としてどういった社会的な課題や問題に取り組んでいくのかを考えることが求められているのです。

この時代の流れを受けて「社会志向」と呼ばれるマーケティングが今後主流になると考えられます。これは企業が果たすべき社会責任、社会貢献までマーケティングとして捉える考え方です。現に「ムーブメント」を起こしている企業の多くは、「社会志向」のマーケティングを実行しています。パタゴニアというアウトドアウェアを販売している会社がありますが、パタゴニアは「環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑え、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことを企業の方針としています。パタゴニアの消費者は、パタゴニアの世界観に共感すると同時に、パタゴニアの商品を身にまとうことによって自身の世界観、価値観に醸し出しているのです(自己実現)。

結果として、単にテクノロジーを訴求している会社と、ブランドのミッション(企業理念)を訴求している会社とでは消費者の忠誠心が全く違うのです。テクノロジーを訴求している会社の多くは業界が変動したり、テクノロジーが陳腐化すると消えていきます(例:Compaq)。その反面、企業理念を持っている会社は熱狂的なユーザーに支えられ、商品や業界が変わっても生き続けることができるのです(例:↓)。


拡大

Sources:

 

販売戦略 - ムーブメントの起こし方

「ムーブメント」とは特定の社会や集団において、一種の方向性や指向性が発生した際に観測される社会現象。いくつかの「条件」が重なるとムーブメントを起こすことができます。


「ムーブメント」とは特定の社会や集団において、一種の方向性や指向性が発生した際に観測される社会現象のことです。しかし社会現象と言うと70年代の「ヒッピー」のような大きな流行を想像しがちですが、実は身の回りの色々なところでムーブメントは起こっています。

皆さんはハーレー・ダビッドソンとう会社をご存知でしょうか?オートバイを製造、販売しているアメリカの老舗バイクメーカーです。ハーレー・ダビッドソンのオートバイを購入する人は、アメリカらしいオートバイのデザインや性能を好んでいるのはもちろんですが、それ以上にブランドが醸し出すイメージに惹かれているのです。ハーレーのイメージは、「何にも服さない」、「自由」、「アウトロー」というような言葉で表すことができます。そしてハーレーの世界観・価値観に共感した世界中のライダーが、一つのグループとなって「ムーブメント」を起こしているのです。


では具体的にムーブメントを起こすにはどうすればいいのでしょうか?いくつかの「条件」が重なるとムーブメントを起こすことができます。

① 消費者が「WHAT」ではなく、「WHY」に共感した時

アメリカの作家のSimon Sinek氏によると、企業が売っている商品やサービスが「WHAT」だとすると、企業が商品やサービスを売っている理由が「WHY」だと説明しています。お金を稼ぐ以外に理由はないとお考えかもしれませんが、ムーブメントを起こしている企業はそれぞれ確固たる世界観、価値観を持っているのです。これが「WHY」の部分にあたり、消費者は「WHAT」を買うのではなく、「WHY」を買うのだとSinek氏は説明しています。パタゴニアというアウトドアウェアを販売している会社がありますが、パタゴニアは「環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑え、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」ことを企業の方針としています。パタゴニアの消費者の多くはこの世界観、価値観に共感してこのブランドを身にまとうのです。


② 消費者が「Status Quo(現状維持)」に不満を持っている時

アメリカの作家・起業家であるSeth Godin氏によると、「非難の余地がない、安全なことでムーブメントを起こそうとすると必ず失敗する」と言っています。少数のグループが現状に不満を持って、リスクを背負いながら立ち上がる時にこそムーブメントは起きるのです。トムズという、靴を販売している会社があります。創業者であるBlake Mycoskie氏がこの会社を立ち上げた切っ掛けは、2006年にアルゼンチンの貧しい村を旅行で尋ねた際に、お金のない子供たちが靴を履いていないことに気が付いたことでした。彼の会社は靴が一足売れるたびに、靴を一足貧しい子供たちに贈呈する活動を続けています。そして彼の「世の中を変えたい」という世界観、価値観に共感した消費者が集まり、ムーブメントを起こしているのです。


 

③ 「メインストリームから外れた」消費者が動く時

メインストリーム(主流派)の人達がムーブメントを起こすことは稀です。メインストリームの人達は、ある意味現状に満足していて、物事を変えようという気持ちは持っていません。ムーブメントは主流から外れている(もしくは外された)人達が世の中を変えようとした時に起こります。インディペンデントレーベルの会社を立ち上げた起業家であるDavid Sivers氏によると、まず一人のリーダー(変わり者)が勇気を持って立ち上がり、最初のフォロワー(追従者)が現れ、追従者が少しづつ増え、最後はムーブメントになると説明しています。リーダーと最初のフォロワーがトリガーとなって、メインストリームの人達が動き出すのです。よってムーブメントを起こすには、メインストリームの人達をターゲットにするのではなく、メインストリームから外れた人達を動かすことが重要なのです。

David Sivers - TED "How to start a movement"

ビジネスを立ち上げる上で、ムーブメントを起こすことのできる企業とそうでない企業では、全くと言っていいほど消費者の反応が異なります。ムーブメントを起こす企業は、広告に依存しなくてもファンが自然に増えていきます。ムーブメントを起こすには消費者自身の意思でブランドを「受け入れる」必要がありますので、いくらマス広告にお金を使っても本当のファンを増やすことはできません。また、ムーブメントを起こす企業は、価格や付加価値の競争に巻き込まれることもありません。少し値段が高くても、自分が共感するブランドにはお金を出すのです。技術的な革新によるイノベーションで差異化を図ることも重要ですが、デジタルの時代において商品で差異化を図るのは非常に難しくなってきています。そして例え画期的な商品を開発したとしても、すぐに真似されてしまいコモディティー化してしまうでしょう。よって今、もしくはこれから成功する企業は必ずと言っていいほど消費者の心を掴んでムーブメントを起こす企業なのです。


Sources:

Harley-Davidson

Patagonia

TOMS

Simon Sinek - TED "How great leaders inspire action"

Seth Godin - TED "How to get your ideas to spread"

David Sivers - TED "How to start a movement"

 

販路開拓 - 商品を売るためのチャネル

まず自分達で売ってみることが重要です。


はじめて海外進出を試みる企業にとって、商品を売るための販売チャンネル(販路)は色々と考えられます。

最初に思いつくのはリテーラーやディストリビューターかもしれませんね。私も大手メーカーに勤めていた時に、下記のアメリカの販路で自社製品を販売した経験があります。

 

  • ナショナルリテーラー(大手量販店)
  • リージョナルリテーラー(地域に特化した小売店)
  • スペシャリティーリテーラー(カテゴリーに特化した小売店)
  • クラブリテーラー(会員制小売店)
  • デパートメントストア(デパート)
  • ダイレクトメールリセーラー(オンライン・カタログ販売業者)
  • アウトレットストア(在庫処分店)
  • ディストリビューター(卸売業者)


しかし、はじめてアメリカ進出を検討している中小企業にとっては、いきなりこれらの販路で自社製品を販売するにはリスクが高すぎるように思えます。そもそも、現地で認知されていない商品をリテーラーに取り扱ってもらうのは極めて難しいのです。そして、リテーラーが求めているビジネス条件(ディーラーマージン、販促費用等)やオペレーション(サプライチェーン、アカウントマネジメント等)に対応するための体制や資金がないとビジネスすら始めることができません。運良くリテーラーに商品を取り扱ってもらったとしても、商品が売れなかった時の不稼働在庫のリスクも大きくなります。小さなメーカーが大きな量販店に商品を取り扱ってもらうために理不尽なビジネス条件に合意して、後々倒産してしまったという話は日常茶飯事です。

そのため、私がアメリカ進出を望む中小企業に最初に勧めるのは「まず自分達で売ってみる」ことです。すなわち「直販」です。自分達で売ってみることによって、どの商品が売れて、誰が買ってくれていて、どの販促活動が効果があるのか等、市場に関しての知識を得ることができるのです。リテーラーや販売代理店任せでは、こういった貴重な経験や知見を得ることはできません。

そして、顧客とダイレクトな関係を持ちたいのであれば、直販以外の販路はありません。なぜなら、リテーラー経由で販売すると、顧客との関係は全てリテーラーが握ってしまうからです。そのため、顧客からのフィードバック(どのような商品が求められているのか、なぜ商品が売れないのか等)はメーカーまで届きません。また、リテーラーの店員が顧客に対して適切な商品説明をしているのかも分かりません。

私はリテーラーで商品を売ることを否定している訳ではありません。強いブランド力を持ち、既に顧客からの「引き」がある商品ならばリテーラーに並べておいても売れると思います。しかし、ブランド力も無い、認知度も無い、説明を要する商品であれば、リテーラーに並べておくだけでは売れないことは明白です。よってブランド力を持たない中小企業は、リテーラーの販路開拓に時間を費やすよりも、ターゲットなる顧客に直接アプローチをかけて、ブランドと商品のコアユーザー(ファン)をコツコツと増やしていくことに注力することの方が重要なのです。

そして、コアユーザーの数が増えて、商品についての認知度が高めれば、リテーラーで売ることも視野に入れてもいいと思います。むしろ、その方がリテーラーからの引き合いが増えて、結果的に販路を拡大し易くなるでしょう。


 

販路開拓 - アメリカでの返品について

アメリカで商品を売ると返品の問題にぶつかります。ただ返品から学べることもあります。


ここではアメリカでの『返品』についてお話します。アメリカでお買い物をされた方は既にご存知だと思いますが、基本的に買った商品はなんでも返品できちゃいます。これって凄いことですよね。なかにはお店でドレスを買って、パーティーにそのドレスを着て行き、パーティーの翌日に同じお店で返品するなんてことも聞きます。

でもメーカーにとっては、これって大きな問題なんです。なぜなら、お店に返品された商品はメーカーに戻されるからです。そしてお店が顧客からの返品を受けるように、メーカーもお店からの返品を受けることになります。家電業界では売った商品の10%以上が返品されることなんてよくあります。100台売ったら10台戻ってきてしまうのです!

戻ってきた商品はどうなるかと言うと、メーカーの倉庫で点検されて再販できるものは売られ、再販できないものはパーツに使われたりスクラップにされます。そして再販されたとしても、新品としては売れないので『メーカー再生品』として大きな値引きで売られます。よってビジネスの利益率にもかなりインパクトがあるのです。

返品をそもそも受けなければいいのでは?とお考えかもしれません。法律的には返品を受けなくてはならないということはないようです。ただアメリカのどのリテーラーもメーカーも返品を基本的には認めていますので、顧客サービスの観点から返品を認めないということはまずあり得ないのです。よって返品は顧客にとって非常に便利ですが、メーカーにとっては悩みの種なのです。 
 
しかし、返品から学べることも沢山あるのです。なぜ顧客が商品を返品するのかを調べてみましょう。User Experience (UX)やUser Interface (UI)が良くないとか、商品自体に問題があるかもしれません。対応策としては、顧客のPain Pointを調べて商品を改善したり、ネットワークにつながる商品であればFirmware Updateを行うこともできます。もしくは使い方が分らないから返品したということもあるでしょう。その場合、使い方を簡単に記したRead This Firstという簡易型の取説を入れることもできます。

返品率が高い商品は何か問題があるので、指標として常にモニターしておきましょう。


 

販路開拓 - アメリカのリテーラーとの交渉ならびにビジネス条件について

アメリカのリテーラーとの交渉する上で知っておきたいこと。


アメリカで直販のビジネスを立ち上げ、ある程度自社商品への認知度が上がってくれば、次のステップとして販路を拡大するために量販店・小売店(リテーラー)経由での販売を目指すのも良いと思います。

アメリカのリテーラーはNational RetailerRegional Retailerに大きく分けることができます。National Retailerは全米に店舗を展開しています。Regional Retailerは特定の州や地域で店舗展開をしています。National Retailerの方が店舗数も多いので取引きできればビジネス規模も大きくなりますが、オーダーの規模が大きいため生産設備を増やすリスクや、リテーラーが持つ複数の倉庫へ商品を配送するオペレーションの構築など、中小企業がいきなりビジネス提携するにはリスクが大きいと考えます。その反面、Regional Retailerは店舗数が少ないですが、割と小規模なオペレーションで賄えますのでリテーラーとのビジネスの基盤を整えるには向いていると言えます。またこれは私の経験上の意見ですが、大手のリテーラーとビジネスをすると、「力関係上」リテーラーの方が圧倒的に有利ですので無理なビジネス条件(例:価格)を飲まされる場合もあります。

最初にリテーラーのバイヤーに会って商品を説明することから始まります。バイヤーは商品の買い付けを行いますが、商品が売れないとビジネス責任を問われてしまいますので商品の見定めには慎重です。そしてバイヤーに商品を気に入ってもらえなければその先の交渉はありません。したがってバイヤーとのミーティングでは、商品の主な特徴だけでなく、競合商品との差異化の部分をしっかりと説明しましょう。バイヤーの頭の中には競合商品の情報が当然入っていますので、目の前の商品が競争力があるかを即時に見極めます。バイヤーによっては機能やデザインのブラッシュアップ(改善)や価格の変更を求めてくる場合もあります。バイヤーは棚に並ぶ商品のラインアップを頭の中で想像していて、この商品の位置付けを事前に決めているのです。バイヤーのフィードバックは無理なリクエストではない限り、聞き入れることは非常に重要であり、「バイヤーと共に商品を開発する」という姿勢をメーカーがバイヤーに見せることが重要です。

バイヤーに商品を気に入ってもらえたら、次はビジネス条件について交渉することになります。アメリカのリテーラーと交渉することになる「ビジネス条件」について、あらかじめ知っておくことは大変重要ですのでここで説明します。

Dealer Margin:まず最初に聞かれるのがリテーラーの取り分となるリテーラーマージンです。ここで「マージン」と「マークアップ」の違いは理解しておいてください。リテーラーへの売値が$100とすると、25%のマークアップの商品の売値は$125になります。この場合のマージンは$25/$125=20%となります。ここでリテーラーに提供するマージンは25%ではなく、20%ですので注意しましょう。リテーラーマージンは商品や業界によって異なりますので、相応のリテーラーマージンを調べられる範囲で事前に把握しておきましょう。

Price Guarantee (Price Protection):これはメーカーが商品の価格を下げた場合、リテーラーが既に購入している在庫の価格を補填するために、メーカーがリテーラーに支払う費用です。商品の価格は市場の状況によって変更することが多々あります。そしてメーカーが値段を下げると、リテーラーも値段を下げることになります。その場合、「価格変更前の高い値段」でリテーラーが購入した在庫がある場合、その在庫分に関してメーカーは値差を補填することになります。

Payment Terms:これはリテーラーの支払条件のことです。例えば、1% 15 Days / Net 30 Daysというのは、通常30日以内に支払うところを、15日以内に支払えば1%の割引がもらえるということです。当然リテーラーはできるだけ支払いを遅らせて、キャッシュフローを良くしたいので可能な限り有利な支払条件を求めてきます。

Shipping & Freight:リテーラーの倉庫(Distribution Center)に商品を納品する場合、そこまでの運搬費用に関しての条件です。メーカーがリテーラーの倉庫までの運搬費を持つ場合、運搬方法(例:地上輸送のみ)や運搬業者の指定に関して予め条件を設定しておきます。

Return Policy:アメリカで商品を売る場合、避けて通れないのが返品の問題です。アメリカの消費者は購入した商品をある一定の期間以内であればリテーラーに問答無用で返品することができます。返品率は商品や業界にもよりますが、家電の場合3%~20%の返品率です。リテーラーに戻された商品は、メーカーに戻すことが一般的ですが、ここでリテーラーがメーカーに戻せる返品の上限を設定する場合もあります。上限以上の返品はメーカーが受け付けないため、リテーラーが返品を減らす措置を自ら取ることを狙いとしています。

Sales and Inventory Reporting:リテーラーは(1)週次の販売実績と在庫数、(2)直近のオーダーの数量、(3)数か月先までの販売見込みをメーカーに対して定期的に提示することを条件として入れておきましょう。これによりメーカーは随時商品の販売状況を把握することができ、必要に応じて生産量を増やしたり減らしたりできます。

Market Development Fund (MDF):リテーラーが行う販売促進活動に掛かる費用をメーカーが補填することがあります。一般的にリテーラーが行う展示の作成、広告の配信、プロモーション等に使われます。

最終的には、上記の条件を全てまとめたリテーラー契約を締結します。リテーラーに有利な条件に合意すると、経営的に厳しい状況を招く可能性がありますので注意しましょう。小さなメーカーが大きな量販店に商品を入れるために理不尽なビジネス条件に合意して、後々倒産してしまったという話もよく聞きます。リテーラーの経営も年々厳しくなっていますので、リテーラーとの交渉はシビアであり、メンタルなタフさが必要であることも覚えておいてください。

 

販売促進 - 弱者のマーケティング

大きなマーケティング予算を持たない中小企業が取るべきマーケティング戦略とは?


大きなマーケティング予算を持たない中小企業は「ニッチャー」(小さなマーケティングセグメントの中で、リーダーとなっている企業やブランド)としてのマーケティング戦略が重要となります。大きなマーケティング予算を持つ大企業と正面からぶつかっていてはまず勝ち目はありません。

典型的な大企業のマーケティング戦略と「ニッチャー」のマーケティング戦略を比較してみましょう。(尚、下記の「ニッチャー」のマーケティング戦略は弊社がクライアントに薦める販売戦略です。)
 
大企業のマーケティング 「ニッチャー」のマーケティング
大きなマーケティング予算  軸となる戦略に予算を集中投下
一般を対象としたマーケティングコアユーザーを対象とした戦略マーケティング
型にはまったマーケティングトライアルとエラーの繰り返し
プッシュ型マーケティングプル型マーケティング
数撃てば当たるというアプローチ狙いを定め、効果を測定して、改善するアプローチ
ブランドの権威ブランドへの信頼
顧客の管理顧客とのコラボレーション
お金を使った広告宣伝(テレビ広告、雑誌広告等)お金を使わない広告宣伝(主に口コミ)
プロダクトアウトプロダクトと市場のフィット
商品(WHAT)がメッセージ企業理念(WHY)がメッセージ

「ニッチャー」は、市場を細分化(マーケットセグメンテーション)して、ターゲットとなる市場と顧客をできるだけ絞り込むことにより、限られたマーケティング予算を最大限に活用する方法を取ります。

「ニッチャー」は「顧客とのつながり」を築くことを最優先するため、ブランドの権威を築くことよりも、ブランドへの信頼を築くことを重要視します。ブランドを信頼する顧客は、積極的にブランドを支持してくれるだけでなく、友達や知り合いにも購買を勧めます。そのため、お金を使った広告宣伝(テレビ広告等)をしなくても、口コミで商品が広まっていきます。

「ニッチャー」が訴求するメッセージは、商品についてではなく、企業理念を訴求するケースが多々あります。アメリカの作家のSimon Sinek氏によると、企業が売っている商品やサービスが「WHAT」だとすると、企業が商品やサービスを売っている理由が「WHY」だと説明しています。信頼を得るブランドは、それぞれ確固たる世界観、価値観を持っているんですね。そして、その部分に消費者が共感してサポーターになるのです。

プロダクトを中心に訴求する大企業と、ターゲット顧客を中心に訴求する「ニッチャー」とでは、マーケティング戦略が全く違うことが判ると思います。

 

販売促進 - チャネルマーケティング

商品を売るにはリテーラーとメーカーが力を合わせて販売活動を行います。


リテーラーとの交渉を経て無事に販売契約を結ぶことになれば、いよいよリテールチャンネルで商品を販売することになります。ウォルマートのようなNational Retailerであれば、全米に何千店舗も運営しているので一気に売上が伸びることを期待するはずです。

しかし残念ながら現実はそんなに甘くはありません。リテーラーは商品を店頭に並べてくれますが、商品が売れる保障はしてくれません。リテーラーは商品が売れなければ在庫を抱えることになりますので、メーカーに在庫を戻す(Stock Balancing)、もしくは販売価格を下げて在庫の価格保障(Price Protection)をメーカーに要求します。いづれにしてもメーカーは経営的にダメージを負うことになります。そしてリテーラーの規模が大きいほどリスクも大きくなるのです。

また、リテーラーに販売活動を全て任せるというわけにはいかないのです。商品を売るにはリテーラーとメーカーが力を合わせて販売活動を行います。この活動をチャネルマーケティングと呼びます。

商品発売前の段階でリテーラーが行う販売促進活動の内容と予算を交渉します。リテーラーが行う販売促進活動には、テレビ広告、新聞へのチラシ広告の投げ込み、オンラインマーケティング、プロモーション等が含まれます。これらの活動に掛かる費用はリテーラーとメーカーの両方が出資することで合意します。また合意した予算の大きさによって計画販売台数も変わってくるのです。

この他にチャネルマーケティングで重要なのは「現場の管理」です。アメリカの大手家電量販店の現場は、商品が無造作に羅列されてあり、最低限のスペックと価格がタグで記載されているだけのところが多いのです。そして各展示エリアに販売員が常駐しているわけではないので、ほとんどの場合セルフサービスになっています。この環境で自社の製品を優先的に購入してもらうための策がいくつかあります。

 

  • 専用展示台を設置して自社商品が目立つようにします。リテーラーによっては専用展示台を認めていない、もしくは展示台のデザインの制約がある場合もありますのでリテーラーと相談しながら進める必要があります。
  • 自社商品のプロモーターを現場に配置します。プロモーターは自社商品を専門に売ってくれます。プロモーターを派遣してくれる会社と契約して指定した店舗に配置することができます。
  • リテーラーの販売員をトレーニングしましょう。現場にいる販売員は何十種類の商品を見ていますので、自社商品に関しては簡単な情報しか持ち合わせていません。販売員に配布できる商品のパンフレットを準備しましょう。
     
この中でプロモーターの配置は特に効果的です。プロモーターは自社商品のエキスパートなので顧客に対して的確な情報を提供することができます。そして自社商品が問題なく展示されているかを確認します。驚くかもしれませんが、米国の量販店では展示されている商品に電源ケーブルがつながっていなかったり、不具合があることはよくあることなのです。そしてプロモーターは現場の声(顧客からのフィードバック、売れ筋の競合モデルの情報等)をレポートしてくれますので本社にいても現場の状況を把握できるのです。しかしながら、プロモーターを配置するには大きな予算が必要となることも理解しておいてください。

チャネルマーケティングは非常に重要な活動です。チャネルマーケティングがしっかりとしているメーカーとそうでないメーカーでは、商品の実売上に大きな差があります。米国の大手量販店を訪れる機会があれば、どのメーカーがしっかりと活動しているかを実際ご覧になってください。展示されている商品がピカピカだったり、専用展示台が置かれていたり、プロモーターがきちんと商品説明しているのですぐに分るはずです。

 

販売オペレーション - 商品を売るための基盤の構築

アマゾンのサービスを使って、できるだけ初期投資を少なく販売オペレーションを構築する方法を説明します。


アメリカで自社製品を販売することを決めた中小企業にとって、現地での販売オペレーションをどうやって構築すればいいのか悩むかもしれません。

現地での自社製品の販売を実現する上で、運営が必要なオペレーションは大きく分けて4つあります。

 
  1. 販売チャネルの構築と運営
  2. 現地での商品の保管・顧客への配送
  3. 商品の海外への配送
  4. 顧客のサポート

ここでは、ネット販売(直販)で商品を販売したいメーカー企業を例に、できるだけ初期投資を少なく販売オペレーションを構築する方法を説明したいと思います。

販売チャネルの構築と運営

商品を売るための販路は色々と考えられますが、市場のフィードバックや海外展開に関しての貴重な経験を得るにはネット販売が有効です。ネット販売する上で、EC機能を持つ自社サイトを作ることもできますが、集客という問題に直面することになります。店舗でも人通りの全くない場所では人は来てくれませんよね?そこで、まずは人が沢山くるショッピングモールにお店を出してみましょう。アメリカなら、最大のショッピングモールと言えばアマゾンです。

アマゾンに出品するもう一つの理由は、アマゾン出品サービスを利用できることです。アマゾン出品サービスとは、アマゾンのインフラを使ったフル機能のコマースサイトが簡単に構築できるサービスです。ネット販売サイトを構築する上で必要となる機能は大きく3つあります。1つ目は「ショップページ」(看板、商品棚)、2つ目は「ショッピングカート」(決済)、3つ目は「販売管理」(商品・受注・顧客情報管理)です。アマゾン出品サービスはこの3つの機能を提供していますので、アマゾンのサービスを使えば簡単にお店を開くことができます。代金は、アマゾンが購入者から回収し、出品者様の銀行口座に振り込みます。

現地での商品の保管・顧客への配送

現地で商品を販売する上で、日本から商品を個々に顧客に送っていては輸送費もかかる上に、手間・時間もかかってしまいます。そのため、在庫を現地に保管して、そこから顧客に商品を配送するオペレーションが必要となります。ここでも、アマゾンが提供する「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」という便利なサービスを利用すれば、アマゾンが自前の倉庫で商品を保管してくれるだけでなく、オーダーが入った時点でアマゾンが商品を梱包して顧客に出荷してくれます。また、配送の問い合わせの対応も全てアマゾンが行ってくれます。

自社で倉庫を借りて、ロジスティックスのオペレーションを運営する手間とコストが無くなりますので、はじめてアメリカでビジネスを行う企業には最適なサービスです。

商品の海外への配送

上記のアマゾンの「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」というサービスを利用すれば、メーカーはアメリカに所在するアマゾンの倉庫に商品をまとめて輸送・納品するだけです。日本からアメリカへ商品を出荷される場合、輸出入業務に対応する必要があります。

輸出される貨物の値が$2500以上、もしくは米国審査機関(FDA、USDA、FCC等)の管理下にある商品を輸出される場合は、米国への輸入の為に必要なライセンス・登録事項を確認・取得する必要があるため、輸出入・納品代行業者をご利用されることをお勧めいたします。

米国審査機関(FDA、USDA、FCC等)の管理下にない商品を輸出される場合、そして輸出される貨物の値が$2500以下、もしくは貨物がパレットの半分に満たない場合は、DHL、FedEx、USPを含むクーリエサービスをご利用されることをお勧めいたします。

尚、重要な点ですが、商品によっては、市場毎に該当する規制・規格(コンプライアンス)があるため、
規制・規格内容は事前にご確認していただき、対応していただく必要があります。コンプライアンスに関してご質問等ございましたら、コンプライアンス(規制)を専門としている企業・アドバイザーをご紹介いたします。

顧客のサポート

販売開始後の顧客のサポートは、顧客からの問い合わせの対応と返品の対応が中心となります。アマゾンのサービスを利用した場合、オーダーに関しての顧客からの問い合わせは基本的にアマゾンが(対応してくれます。また、返品に関しての対応もアマゾンが行ってくれます。返品された商品はアマゾンの倉庫に一時的に保管されます。)

その他の問い合わせ(例えば商品に関しての質問)に関しては、メーカーがメールで対応するだけで充分だと思います。電話での対応はコストがかかりますので、ビジネス規模が大きくなった時点でコールセンターの設置を検討してもよいと思います。

上記の方法だと、現地での販売オペレーションの構築に大きな投資や手間が掛からないことがお分かりになりましたか?

現地に駐在員を送る必要もありません。
現地法人の設立などの初期投資は不要。日本にいながらすぐに海外での販売を開始できます。
日本にいながらウェブ上で販売や在庫の状況を随時管理することができます。
現地での顧客のサポートも基必要ありません。
輸出入業務は輸出入・納品代行業者に任せることができます。
在庫はアメリカにあるアマゾンの倉庫に送るだけです。
 

メイカームーブメント

私が自分の会社を立ち上げたきっかけとなった本を紹介します。


クリス・アンダーソン氏の「MAKERS」という本です。今では結構有名な本ですよね。


Makers


クリス・アンダーソン氏は、次のことが実現可能になったことにより、誰もが製造業の起業家になれる時代になったと訴えています。

 
  • 3Dプリンターやレーザーカッターのようなデジタル工作機械がデスクトップに置かれるようになり、専門知識を持たない人たちでもモノをデザインできるようになった。
  • デザインされたアイデアをオンラインのコミュニティーで公開しながら、オープンイノベーションによって世界中の仲間と共創できるようになった。
  • 世界中にある製造ソーシング会社をネット経由で利用すれば、そこで生まれたアイデアをクリック一つで低価格・小ロット生産することができるようになった。

長年、大手家電メーカーで勤めてきた私にとっては衝撃的な内容でした。大手メーカーでは何十万円もかけて手作りの試作品を作って、何百万もかけて金型をおこして、何億円もかけて建てた工場で大量生産するのが当たり前。クリス・アンダーソン氏の言っていることは、この「常識」を全て覆し、新しい時代の幕開けを感じさせてくれました。

モノづくり大国である日本は、このムーブメントを牽引することにより、光を失いつつある製造業で世界のトップに返り咲けると信じています。そして海外での販売を専門分野としている私ができることは、やる気と志のある日本人が作った商品を世界の市場で売ることです。

一緒に頑張りましょう!

 
 

 

 

 
このエントリーをはてなブックマークに追加